KAWASAKI KASEI CHEMICALS LTD.
  SULF CONTROL HP KAWASAKI KASEI CHEMICALS LTD.  
home Wha's new Our profile
 
Key word Search
  Applications,physical properties and features
inquiry
  川崎化成の芳香族化合物
用途・特性・特徴
 キノンはそのユニークな特性から生体内で重要な役割を担い(例えば、光合成の電子伝達物資、ビタミンK類)、また産業上の多くの用途に利用されています(脱硫、硫化水素発生抑制、貴金属選択回収、パルプ製造、酸素吸収剤、過酸化水素製造触媒)。キノンはベンゾキノン類、ナフトキノン類、アントラキノン類に大きく分けることがでます。これらキノン類の最大の特徴は可逆的な酸化還元サイクルを形成できるところにあります。
 これらのキノン類は官能基により様々な標準酸化還元電位を取ることができます。そのため、以下に述べるように、生体内での化学反応の重要な役割を演じたり、産業上でも特に環境分野で様々な用途で用いられています。
1.貴金属の回収とキノン  
 金、白金、パラジウムは近年、電子配線、自動車排ガス燃焼触媒等の様々な触媒の用途が急激に広がり、その使用量が増加しています。一方、これら使用後の貴金属の回収量も増加しており、環境への排出量も増加しています。
  このような貴金属は通常錯体を形成したイオンの状態で廃液中に存在しており、沈降、濾過、燃焼により回収されていますが、他の多くの金属も含んでいるので選択的な回収は困難でした。
  しかし、キノンによりこれら貴金属の回収が可能となりました。キノンは固有の酸化還元電位をもち、それよりも高い酸化還元電位を持つ金、白金、銀、パラジウムなどの貴金属イオンだけを選択的に還元することができます。
川崎化成ではキノンを用いた貴金属捕捉剤、メタルコントロール(MC)を開発し、このシステムによる貴金属回収を実現しました。
2.紙の製造とキノン
 現在では様々な人間活動の影響により地球上の森林面積が減少しており、地球温暖化が大きな問題となっています。しかし、製紙産業は、森林資源を大量に消費する一方、植林事業を推進して森林資源を保護育成し、持続的な資源循環を可能にしています。紙の製造における蒸解工程において可逆的酸化還元サイクルを有するキノンが大きな役割を演じています。
 世界のパルプ工業で使用されている主要なキノン類は、アントラキノン(AQ)と
SAQです。ディールス・アルダー反応により合成される川崎化成のSAQ(Disodium salt of 1,4-dihydroanthrahydroquinone) は蒸解助剤として日本のパルプ工場の80%で使用されています。
3.アントラセンの物性・特徴
分子式:C14H10、融点:217〜218℃ 、沸点:340℃ 、板状結晶、単斜晶系の分子性結晶
3個のベンゼン環、14個のπ電子を有する芳香族炭化水素
単結晶:ほぼ無色、複屈折率:著し、抵抗率:1020Ωcm(室温)
ベンゼン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素、アルコール、エーテルに溶解
純粋なものは無色で紫色の蛍光を発します。
テトラセンなどの不純物を含むものは黄色で、緑色の蛍光を発します。
4.有機半導体とアントラセン
 アントラセン、テトラセン、ペンタセンなどのアセン類単結晶は、キャリア(電子、正孔、あるいは励起子)が結晶内を比較的スムーズに移動することができます。電気伝導度からみれば半導体に属します。結晶構造では分子間にπ電子の重なりがあり、無機半導体に類似のバンドが形成され、バンド内キャリア移動が可能になると考えられています。
 「有機半導体」はコピー機、レーザープリンターの感光体、液晶、レジストにおいて実用化され、その特性を生かしたさらなる応用展開が期待されています。今後これらの有機半導体で期待される応用分野の一例としては、低コストの太陽電池の開発、エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)の開発があげられます。
5.光吸収とアントラセン類
 電球のように物質を高温にすると光が放出されますが、物質が高温にならなくても何らかの刺激によって光を放出する場合があります。これをルミネセンス(発光)といいます。有機化合物では、同じ多重度をもつ電子状態間の遷移による発光を蛍光といい、そうでない場合をリン光といいます。電子が励起準位に励起されるとそれより低いエネルギー準位に落ち、最後に基底状態に戻ります。分子の場合には吸収したエネルギーの一部を分子振動として消費するため、一般に吸収光の振動数に比ぺて発光の振動数は小さくなります。(ストークスの法則)
 スペクトル、偏光特性、残光特性、減衰特性、電場や磁場の効果、温度依存性、励起波長依存性、励起時間依存性などは発光機構や発光種について重要な知見を与えます。一般に芳香族炭化水素は蛍光を有し、特にアントラセン類は蛍光を有する有機物として有名です。
 光吸収したエネルギー(電子)を他分子に与える光増感電子移動は、多くの分野、例えば印刷、塗装、光学レンズ、歯科材料、プラスチック成形品、光ディスク、金属表面加工分野等でUV(紫外線)やEB(電子線)硬化反応に応用されています。
  それぞれの分野での要望に応じた優れた物性(高耐熱性、高ガラス転移温度、高絶縁性、低誘電率)を発現するUV硬化性ポリマー、あるいは反応性希釈剤、光重合開始剤、増感剤の開発が求められています。このような分野にアントラセン化合物が多く利用されています。
6.吸収・硬化
 光を用いた光硬化材料は、これまでの熱硬化型の材料に比べエネルギー効率がよく、近年めざましく発展しています。これらの材料は、浮き彫り画像の形成材料として印刷版やプリント配線基板などの製造に実用化され、一般に感光性樹脂やフォトポリマーと呼ばれています。現在、日本の市場では塗料を始め、インキ・レジスト・接着剤など多くの業界でUV硬化システムが導入されています。
 現在、最も頻繁に使用されている光硬化材料は、ラジカル重合を用いたアクリルなどの硬化材料であるが、硬化時の熱収縮に伴う寸法安定性、硬化時に発生させたラジカルが酸素によって消失し硬化が停止することから薄膜での硬化に弱いなどの弱点があります。カチオン重合では上記の弱点がなく、寸法安定性が重視される光造型などで徐々に実用化が進んでいましたが、ラジカル重合に比べ硬化速度が遅い、開始剤などのコストが高いなどの理由から特殊な用途でしか採用されませんでした。
 ところが、吸収波長254nmの極大吸収及び350〜410nmに適度な吸光度を持ち、更に光重合開始剤へのエネルギー伝達効率の高いアントラセン化合物を増感剤として使うことにより、コストの面からも敷居が低くなり広範囲での実用化が始まっています。川崎化成は、このような光増感プロセスのために、例えばジブトキシアントラセンやジプロポキシアントラセンといったジアルコキシアントラセンのような優れた光増感剤を開発、製造し、市場に供給しています。
7.液晶とアントラセン
 コレステリック相であるフォーカルコニック状態とネマティック相であるホメオトロピック状態を同一電圧で保持し、表示する液晶表示方式において、ネマティック液晶及びコレスティック液晶に加えて特定のドーパント化合物を含有することにより、電気光学的ヒステリシス効果を高めることができ、高コントラスト比で大容量表示及びタイプイン書き込み可能な液晶表示を安定に駆動することができます。
 このドーパント化合物としては、液晶分子間の配向規制力に影響を与える物質の中で、非液晶で、芳香族基を有し、平面性に優れた分子構造を有し、且つ電子供与性を備えた有機化合物が有効です。
 これら有機化合物には、ビアントロン、1,2,5,6-ジベンゾアントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、1,2,3,4-ジベンズアントラセン、5,6,11,12-テトラフェニルナフタセン(ラブレン)等があります。
誘電率dielectric constant(permittivity)、誘電体dielectrics、比誘電率relative dielectric constant、電気絶縁材料insulating materials、絶縁抵抗insulation resistance、誘電特性dielectric characteristic、透磁率permeability、導電率conductivity、周波数frequency、非線形光学特性nonlinear optical property、集積回路integrated circuit、トンネル効果tunnel effect、双極子dipoleモーメントmoment、格子lattice定数constant、ミラー指数Miller Index、禁止帯forbidden band、許容帯permission band、ブリルアン帯Brillouin zone、パウリの禁制律、HOMO、LUMO、分極polarization、内部電界internal electric field、吸光absorption、ヒステリシス曲線hysteresis loop、相転移phase transition、自発分極spontaneous polarization、キューリー点Curie point、圧電効果piezoelectric effect、電気光学効果electrooptic effect、弾性光学効果Elasticity optic effect、発振oscillation、不純物効果adulterant effect、光伝導photoconduction、誘起電流induced current、ツェナ効果Zener effect、ショットキー効果Schottky effect、プールフレンケル効果Poole-Frenkel effect、再結合recombination、格子欠陥lattice defect、エッチングetching、液晶Liquid crystal、酸化還元redox(oxidoreduction)、エレクトロクロミックelectrochromic、フォトクロミックphotochromic、電子吸引性electron-withdrawing、電子供与性electro-donicity、分極率polarizability、光電効果photo-electric effect
8.医薬とキノン
 キノン構造を持つ化合物は、自然界に幅広く分布しています。このキノン構造を持つ化合物は、それぞれが多様な生理活性を持ち、自然界の中で貴重な役割を果たしています。キノン構造を持つ化合物の中でもナフタレン骨格をベースとするナフトキノン誘導体は、特に生理活性を示す物が多くその活性は多岐にわたっています。
 古くから天然の健康増進剤として服用されて来た物の中には、主成分としてナフトキノン誘導体が含まれている物があり、ナフトフランジオン誘導体はその成分の一つです。最も代表的な生理活性天然ナフトキノン誘導体として、抗出血性ビタミンとして知られるビタミンK類(フィロキノン、メナキノン)が挙げられます。サキョウマイシンやナフトピラン系のナナオマイシンは、5−ヒドロキシー1、4−ナフトキノン骨格を持つ抗生物質です。ダウノマイシンやアドリアマイシンで知られるアントラサイクリン系の抗生物質も同様の骨格を含み、強力な抗腫瘍活性(制癌作用)を持つ為、多くの類縁化合物群が開発されています。
 天然物のラパコールは、古くから抗菌、抗原虫活性を持つことが知られおり、多数の誘導体が開発されて来ました。アトバクオンTM はこれらの中から開発された抗マラリア剤で、抗HIV活性も有します。この他ナフトキノン誘導体には、抗炎症剤、抗アレルギー剤、抗喘息剤、抗リュウマチ剤、気管支拡張剤、抗乾癬剤として、更には血栓防止、血圧降下等の作用も見出されています。また殺菌剤としての効果にも優れ、グラム陽性菌、グラム陰性菌をはじめとする抗菌剤、抗真菌剤、抗ウィルス剤として感染治療薬にも利用できます。更に動物薬として、メナジオン(2−メチル−1、4−ナフトキノン)が止血剤として飼料添加物の形で用いられています。
 ナフトキノン誘導体は、コクシジウム症、タイレリア症、マイコプラズマ感染症等の原生動物感染症治療薬として、抗原虫剤の効果が知られている他、薬剤耐性株にも効果のある動物用抗菌剤としても活用できます。
9.農薬とキノン
 農薬とは農作物(樹木を含む)または農林産物を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミ、雑草などの動植物の防除に用いられる、殺虫剤,殺菌剤,除草剤、植物成長調整剤(PGR剤)、防汚剤、鳥獣忌避剤、その他の薬剤を言います。古くから実用化されているキノン誘導体の殺菌剤としては、ドイツのメルク社が開発したデラン(2,3-ジシアノ-1,4-ジチアアントラキノン)が有名で、果樹や野菜の病害防除に効果があり、耐性ができ難く、現在も世界各地で使用されています。除草剤についてはモゲトン(2-アミノ-3-クロロ-1,4-ナフトキノン)が代表的で、ナフトキノンの2位や3位にアミノ基やクロロ基あるいはチオアルキル基などといった置換基を導入すると除草活性が高くなることが知られています。
 最近になって当社は、1,4-ナフトキノンから2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ローソン)を経由して、殺ダニ剤アセキノシル(2-アセトキシ-3-ドデシル-1,4-ナフトキノン)を合成する新しい方法を開発し、工業化に成功しました。このアセキノシルの製造技術が高く評価され、1999年度の有機合成化学協会賞(技術的)を受賞しました。殺ダニ剤アセキノシルの作用機構は、活性の本体であるアセチル基のはずれた2-ヒドロキシ-3-ドデシル-1,4-ナフトキノンが、酵素複合体3のユビキノール酸化サイトに結合し、呼吸鎖電子伝達系の電子の流れを阻害し、ATPの生産を阻害しています。
 すなわち、ミトコンドリア内での酵素複合体に作用する初めての殺ダニ剤であり、従来のものと異なる作用機構を有する殺ダニ剤で、既存の殺ダニs剤との交差抵抗性は殆ど無いと考えられます。
 本薬品はアグロカネショウ社が製剤化し、殺ダニ剤「カネマイト(R)」として市販されております。
10.化粧品とキノン
 古代エジプトでは、北アフリカ・南西アジア原産のヘンナ(フトモモ目ミソハギ科シコウカ属)という樹木の葉や茎を植物染料として使って髪を染めていたことが、ミイラの髪の分析から明らかになっています。そのヘンナの主成分がナフトキノン誘導体のローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)です。
 また、この染料であるローソンと他の物質を組み合わせ、皮膚に塗布することで、皮膚角質層中で紫外線や短波長領域の可視光線を吸収させる効果があり、日焼けを防止できることが報告されています。紫外線吸収による日焼け防止のみならず、日焼け後の色素沈着やしみ・そばかす・肝斑等の予防および改善に有効なナフトキノン誘導体がいくつかの報告例としてあります。その1つに、ツリフネソウ科の一年草であるホウセンカ(Impatiens balsamina L.)の抽出エキスから単離されたビスナフトキノン誘導体[2,2’-エチリデンビス(3-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)]には美白作用があり、またさまざまな生理活性があることから注目されている化合物です。ビスナフトキノン誘導体はこのチロシナーゼの活性阻害作用およびメラニン生成抑制作用を有しています。
 ナフトキノン誘導体は、他にも様々な機能、生理活性を有しており、今後更なる発展が期待されています。
11.光合成とキノン
 生体内でのキノンの働きの中で最も有名なものは光合成での電子伝達物質としてのプラストキノンと呼ばれる一連のキノンです。光化学系において、P680と呼ばれるクロロフィルaが光を吸収すると電子が励起され、励起電子は隣のフェオチフィンa、プラストキノンと順次移動します。プラストキノンは電子を受取り、酸化体であるキノンからハイドロキノン体に還元されるが、このキノンは反応中心から離れることによりキノンからP680に電子が戻ることはありません。電子を奪われたP680は強力な酸化剤となり結果的に水分子から電子を引き抜き、酸素が発生することになります。
 藍藻類はP700と呼ばれるクロロフィルaを有し、これがもう一つの光化学系を構成します。光の吸収により励起された電子は他のクロロフィル、キノン、鉄/硫黄クラスター、フェレドキシンを経て、最終的にNADPH合成に使われます。P700は光化学系から移動して働いたてきた電子を受取りこの電子が再び励起され再利用されます。
12.硫化水素の発生抑制とキノン
 硫酸塩還元細菌は硫酸イオンを酸化剤として有機物を分解し、そのエネルギーを自身の増殖に使います。その結果、硫酸は還元されて硫化水素が生成しますが、この硫化水素は人体に危険なだけでなく、酸化され硫酸となり、コンクリート等の腐食の原因となります。
 アントラキノンはこの硫酸塩還元細菌に直接作用し、酵素チトクロームC3の電子伝達系を阻害することにより硫化水素の発生を抑制します。私達はアントラキノンの50%水スラリーを作り、サルフコントロール(SC)という名前で販売しています。
13.酸素吸収膜とキノン
 アントラキノン誘導体はは高分子膜の中に取りこまれた状態で、光により還元されアントラヒドロキノンになります。このアントラヒドロキノンは食品トレイの中の酸素を吸収します。私達は、このような特性のあるアントラキノン化合物として、有機溶剤、プレポリマーに可溶性の化合物を用意しております。
14.ポリマー導入用アントラセン化合物
 アントラセン類は一般的に光に感応します。250nm付近に大きな紫外線の吸収を持ちますし、溶剤に溶けて蛍光を発します。このようなアントラセン類を高分子に取り組むにはアントラセン骨格をポリマーにペンダントさせたり、またはポリマー重合時に取り組まれるような2官能性の官能基を持たせる必要があります。このようにして得られたポリマーは光感応性とともに芳香族の導入による熱安定性の向上も期待されます。
 川崎化成は、独自の製法により作られるナフトヒドロキノン、アントラヒドロキノン、アントロンから出発して、上記のような官能基をもつモノマーをいくつも合成しています。
DOWN
 
UP
 
All Rights Reserved by KAWASAKI KASEI CHEMICALS LTD.
English